7月

7月

私の信じる神は、ソフトウエアの神である。

エリートエンジニアや業界有名人のことではない。

なにか感覚として、髭をたくわえた白髪の老人・隠者・仙人。そういうイメージの神様である。

概念としては八百万の神にもっとも近いと思う。唯一神とか絶対神など信じない。万物に神がやどるという考え方。自分が選んだ神が自分の神という考え方である。

山菜を採る人が山の神を敬うように、海産物を捕る人が海の神を敬うように、畑を耕す人が稔りの神を敬うように・・・プログラマがソフトウエアの神を敬うのが、どこか妙だろうか?

宗教に詳しいわけではないが、かなり原始的な神様の概念だと思う。だがもっともしっくりくるのである。

ハイテクとはかけはなれた感じがするかもしれない。ソフトウエアが出来るためには構想・デザイン・設計・地道なコーディング(さらに仕事としてやる場合は協力・説得・利益計算・リスク対策などさらにややこしくなるが)など簡単に作れるものではない。しかしなによりも携わる人々の思い。そこにはまだ何か奇跡の断片があるように感じる。だから神の匂いが感じられるのかもしれない。

徹夜明けの朝日の中で、まだデバッガにつながったままのソフトがよちよち歩きの赤ん坊のように画面の上で不器用に、でも確かな鼓動を持って動き出すとき

ソフトウエアの神様がソフトウエアにたずさわるすべての人々を見守ってくれるのだ

と感謝せずにはおれない。

(1997/7頃初出)