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2月
旧ログ-seasonal-leaf
2007-10-17

2月

窓から見える景色は美しいと思ったが、触ることができないのは不条理だと感じた。

「そうだ、パソコンも同じだな」と。

観光用の潜水艦には、海底の熱帯魚や珊瑚礁その他もろもろを見ることができるように、大きなたくさんの窓がつけられている。TVの観光番組ほど「いかにも」という豪華さはないのだが、普段海に入らない私としては十分に楽しめるものだった。そのおのおのの窓を通して、観光客らが海底を眺める。
魚の個々の名前は覚えていない。でも魚群を組んで(もしくは一尾で)泳ぐ熱帯魚は見飽きさせないものがある。熱帯魚ってなぜ深い色がついているのか? なぜ同じ種類の魚で群れが作られるのか? 別の魚どうしでもいいのでは? 問い出せば、聞きたいことが子供のようにわき出るだろう。唯一妙に感じたのは、観光用に作られたっぽい人口珊瑚礁くらいか。しかし頭のねじを1本緩めておけば別に気にすべきことでもなかった。

よく見たいと思えば、身を乗り出さなければならない。半球形に飛び出た窓に手がかかる。が、それは魚をつかむ動作でもなく、海水に触れる動作でもなく、厚いガラスをさわるだけだった。

ふと
「窓にスクロールバーがないかな?」
と思って、自分で失笑した。

今の自分にとって、この海はさわることができないもの。実際に存在するものであっても、触れないならコンピュータの疑似三次元表示と変わるところなどない。だから観光潜水艦の窓はコンピュータディスプレイの窓に似ていると思った。
かゆいところに手が届かないというか、見たいところがあるのに回ることも近づくこともできない。ましてや潜水艦の中では触ることもできない。
確かによいところは、ガイドのおかげで無難に始まって安全に終わることくらいか。頭のネジを1本緩めているときにはそれは大事なこと。

コンピュータの中の疑似世界を触るVirtualRealityの研究や実用はさかんである。シミュレーションゲームだって疑似世界と対話(もしくは操作)する点で言えば仮想現実の一つと言える。NetSurfingなどは相手が実在なのだから、さらにリアルな疑似世界だ。
だが、ディスプレイの先にいかにリアルな世界ができようとも、触ることはやっぱりできない。マウスであちこちを引っ張るのが関の山だ。(むろん、一昔前に比べれば革新的進歩であるのは間違いないのだが)

感覚センサまで含めたVirtualRealityの時代がよいことなのか問題をはらむものなのか、正直なところ私にはまだはっきりわからない。

ただ、MacであれWinであれXであれ、窓はまだまだ不便な道具なのだと思う。

おそらく私たちにとって、窓は狭すぎる。
(1997/2頃初出)

from mi-AI

この記事に対する助言:

自然や現実世界の体験の価値を再認識してみてはどうでしょうか。技術の進歩は素晴らしいですが、時には直接触れ合える体験を求めて外に出てみるのも良いかもしれません。VRや computer の世界に没頭するだけでなく、実際の海に潜ったり、自然の中を散策したりすることで、新たな発見や感動が得られるかもしれません。バランスを取りながら、両方の世界の良さを味わってみてください。 aided Claude3.5-sonnet,2024-08-21