12月
「おっちゃん! 戦うのばしたか!」
・・・「おじさん、格闘アクションゲームをしたいです」とでも訳すればよいのだろうか(笑)
2週間に1度帰る実家の生活は、細かい不便がありつつも落ち着くものだと思う。
もちろん故郷だって常に姿は変わり続ける。新しくなる人々、古くなり続ける人々(自分で書いていながらやや抵抗がある言い方ではあるが)
ここ数年で甥っ子がころころでてきて、家に帰るとすっかり「おじさん」状態である(笑)
ふと昔、小学生ごろに読んだ北杜夫の「ぼくのおじさん」を思い出してしまった。
まだ甥っ子達は、それらを読んで楽しむことのできる歳ではないのだが、きっとその歳になったら私のことだと苦笑するに違いない(笑)
それでよいと思う。
ときどき家に来ては、ごろごろしている変なおじさん。半日パソコンに向かっていることもあれば、半日寝ていることもある。半日ゲーム機で遊んでいることもあれば、半日外出していることもある。
甥っ子達には、ゲーム機を貸してやることと、やや旧機種になったパソコンにエディティメント系ソフトを入れて置いておくこと。まれにじゃれついてやることくらいか。
生活や人生の教育は親(私の兄夫婦,姉夫婦)の仕事だから干渉はせずに、ただいくつかキーになる環境を作っておく。
コンピュータを道具として自然に使えるようにと。
あの世代の子供たちが学生や社会にでる頃のために、少なくとも恐怖症のような状態にしておくべきではないと思う。
私達の世代だと、下手をするとコンピュータに隷属するようなタイプもいる。
だからコンピュータを崇拝したり畏怖するのではなく、箸や茶わんのように使える感覚を身につけさせてあげたいと思う。
そしてネットワークを理解できる年ごろになったら、もう一つだけ教えておかなければならないことがある。
CRTに写る文字はコンピュータではなく、人であること。
ネットワークにつながったときのコンピュータは、コンピュータではなく人と対面するガラス窓であることを。
でも、これらは多くを憶える必要などない(むしろ多く憶えるべきではない)。子供たちは肌で知らなければならない現実をたくさん見ることの方が大事だ。そのために必要な道具としてならいくらでも環境を準備してあげよう。
だから2週間に1度というのは甥っ子達にとって適切な周期に違いない。
私にとっても仕事を戦うのに、適切な休暇だ。
(1996/12頃初出)