ラストストーリー総括

だいぶ前にクリアして書いたのですが、どうにもうまくまとまらなかったのでようやくアップです。

正直なところ任天堂からこんな状態のJRPGが出るとは思わなかったほど実に厳しい出来でした。

作り込んでいないとかバランスが悪いとか手を抜いているとかいうところはあまりありません。問題はプレイヤーに感情移入をまったくさせずに映像だけを見て操作だけせよという押しつけがましいデザイン方針と思います。

「おお!」と思うシーンであればあるほど、そこで短いムービーが入ってきたり、ナレーションが入ってきたり、説明調の台詞が入ってきたり。話や演出に自信がないから逆に映像や説明を入れてしまっているのではないかとさえ思えます。

操作性において、カメラが悪いとか前に書きましたが、何がどう悪いのかなんとなくわかりました。カメラのむく向きが、プレイヤーにわかりやすい向きではなくて、止め絵がかっこよく写る向きに動くように設計されているのだと思います。

例えば主要なバトルでは始まる前に上方カメラでステージ全体を俯瞰できるのですが、カメラを動かすと引っかかるのです。本来単なる上からのカメラを二次元に動かすだけなのでカメラが引っかかるわけがないのに、引っかかるのです。おそらく単純に動かすと建物にかかる部分でカメラがかぶさったりして見栄えが悪くなるのでそこを動かせないようにしているのだと思います。ですが、引っかかってバトル全体の準備に非常に支障になる。バトルをきちんと設計しようと全体を見たいのにカメラが引っかかって面倒になるので、いいや って気分でスタートしてしまい、そして5回ダウンOKのルールで無理矢理進めることができてしまう。カメラのせいで戦術設計も何もできないで、しかも勝ててしまうので戦術を楽しむ余地さえない。戦闘がおもしろかったと言えるのは、本当にラスボスくらいでした。戦闘中のカメラも含めてとにかくプレイヤーに見やすいカメラではなく、止め絵がかっこいい向きに向くだけしか考慮していないカメラ。プレイヤーに見づらいカメラだからかっこよくても感情移入しにくくなるのです。

バトルシステムとストーリー設定との相性もどうもよくない。

ダンジョンにはいると、傭兵団(NPC)のメンバーはかっこよく立ち回って次に行く場所の手前で物陰に隠れるポーズをします。「おお、かっこいい!」と思って、じゃ自分もまねてみようと思って、物陰に隠れる操作をすると。前が見えない。そして何も先に進まない。自分が先に進まないとバトルが先に進まない。

自分は傭兵団の団長ではないので、先陣を切って進むわけでもないし(まぁ本来リーダーが先陣を切るというのは実はおかしいですが)、団長でもないのに先陣を切るということは、つまり自分の役は、鉄砲玉なのだな と理解する。

鉄砲玉として先陣を切ってバトルをスタートする。団員が「○○をして!」と叫んできます。「おお、なるほど」と思いつつも、「○○をして!」「○○をして!」「○○をして!」と連呼してきます。3回も連呼されたら「○○をしろよ、こののろま!」と言われている気になります。特に序盤で操作にパニックしているとさらにそんな風に聞こえます。

戦闘中は癖のない敵の場合、「ギャザリングをする→逃げ回る→倒れた仲間のそばに行って起こす」を繰り返せば仲間NPCが概ね敵をやっつけてしまいます。自分が倒れることもありますが、5回ダウンOKのルールのためよほどのことがなければ負けません。戦術を失敗したからやり直すことができずに自分の納得のいかないままに勝って先に進めてしまう。

バトルに勝利すると、ステージに落ちてるアイテムを自分で拾わなければなりません。傭兵団の面々はすでにかっこよく次のステージ手前の物陰に隠れています。面倒なアイテム拾いも手伝ってくれないのに仲間、仲間と言われます。

ああ、仲間ではなく鉄砲玉であり、後片付け役なのだな と理解します。

いや、そのことそのものはいいのです。 例えば、他のJRPGでも見習いで始まって出世していくというストーリーも多いです。実際ストーリーにそういう側面もあります。

ただ、それを視覚的に納得できない。 どうみても二枚目でメンバーとも同年代に見えるイケメンな主人公のキャラクタデザインが、小間使い役であることと合致しない。設定的にも主人公は団長と2人で作った傭兵団で最古参の一人という設定。キャラクタが草食系のお人好し的にはしてあるが、そのイケメンデザインがその設定と合わない。なぜこういう立場でバトルをしなければならないのか視覚面、演出面で全くバトルシステムと合致しない。

例えば極端にいうと、主人公と傭兵団の面々とが見た目に全然年の差があるのならまだ視覚的に納得できたかもしれない。主人公が背が一回り小さくてローティーンくらいの年齢で回りの面々がどうみても兄者達に見えるくらいの年の差があれば、確かに鉄砲玉役で後片付け役であるという立ち回りを納得できるのに、そうでないから視覚的に納得がいかない。

この部分はラストバトルあたりになると実は同年代という感じがよい感じに見えてくる部分もあります。ただそう感じるのは本当にラストバトルあたりのみです。

多くのストーリーがナレーションだけで無理矢理進んでいくのも没入感を妨げます。実はこれは声がなくて文字を読ませる形のナレーションだったらまだよかったかもしれません。ナレーターの声があることで、前に書いたカメラの雨だれのように「映画かTVを見せられている感」「プレイヤーはこの場所にはいないのだ感」にさせられてしまうのです。

ナレーターの声が消せないか設定を探したのですが、すべての声を消したらバトルシーンの声も外れるだろうしナレーターだけ消すというのはなさそうだし というジレンマ。

ストーリーはナレーションで進めてバトルそのものを楽しんでくださいという、シミュレーションRPGみたいな方向性であるならば、一つ一つのバトルを手強くして、何回か作戦を練らないとクリアできないようなバトルになっていればいいのですが、5回ダウンOKとターゲット取って逃げ回って、倒れた味方を復帰させ続ければいつのまにか勝ててしまうバトルではそれもしっくりこない。

ミスとウォーカーのロストオデッセイも以前に感想を書きましたが、「悪くはないけど、よい点同士が食いあって変な味になる」あたりは同じことなのかもしれぬ。ロストオデッセイはサウンドノベル部で語られる100年を生きた主人公の渋さと、本編の無口だが熱血風で判断が甘めの主人公が同じ人物として統一性が取れてない。どちらもそれなりによいのに、混ぜてつぶしあってるのと同じく、ラストストーリーも、(やや調整不足だが)新機軸バトルシステムとキャラやストーリー設定に統一性が取られておらず食い合ってつぶしている感じ。

いいものを全部つっこめばよくなる みたいな考え方は作品を全体として見てないとしか言えない。ごった煮になったら切るべきところを大胆に切るべきはずなのに。

あえてよいところを言えばバトルシステムはオンラインゲーム向きの面があるので、これをMO風にリファインすれば何か別のよい作品ができるかもしれぬとは思います。実際オンラインモードも何回か遊んだ感じでは悪くはなかったです。ただ現状ままでは少し大味かな。あと今作ではおまけ要素的なので、ステージが少ない。

BGMは個人的には結構好きです。ただそれ以上にゲーム体験がよろしくなかった。

今作はどう考えてもいただけない。バトルシステムだけを基の素材としてまったく新作のラストストーリー2をもし作るとしたら、それなりには期待するかもしれぬが、すぐに買うのではなく定評を確認してから買うことになるかな。

追記:傭兵団のキャラ設定は結構好きです。各キャラともに癖はあるけど味がある設定だとは思いました。このキャラ達を生かして新しいゲームを作るというのならそれはそれで期待はするかもしれませぬ。個々の要素は悪くないんですよねーどこも。組み合わせ方がまずいというか食い合う部分をきちんと切り捨ててないというか。

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